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非公開で書き溜めてたけど2014年12月に公開

Harvard Business Review 2013年8月号の記事まとめ

たまに本屋で特集を眺めておもしろしそうであれば買うという程度ですが、Harvard Business Reviewは結構刺激のある論文が掲載されていることもあって、毎月といかないまでも定期的にチェックしている雑誌です。


2013年8月号目次 | 特集:起業に学ぶ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

最新号は上記の通り「起業に学ぶ」ということで、起業に興味がある人はもちろん、大企業での社内起業、社内新規事業プロジェクトに携わる人にとっても示唆に富んだ内容になっています。

今回はその中から4つのトピックを抽出して下記に記事の要点をまとめてみました。

 

↓↓以下、要点まとめ↓↓

 

【特集】:起業に学ぶ

日本のビジネスパーソンにとってこれまで「起業」は身近なトピックではなく、有力企業の勃興が相次いだ1990年代後半のシリコンバレーとは資金調達や社会、文化などの違いから、ハードルが高いものだった。しかし、情報化やグローバル化の急速な進展と社会状況の変化が相まって、起業は以前よりも容易になった。低成長が続く現在、新たなキャッシュを生む事業の創造は各企業で差し迫った課題となっている。自分でビジネスを立ち上げようとする人も企業内で働く人も、起業のダイナミズムを理解しておく必要がある時代であると言える。本特集では、起業家へのインタビューや、大企業における事業創造の必要性など、さまざまな観点から起業を考えていく。

 

 

◆トピック①:「リーン・スタートアップ:大企業での活かし方」 by スティーブ・ブランク(スタンフォード大学準教授)

起業といえばかつては綿密な事業計画を作成し、ベンチャー・キャピタリストから十分な資金を得たうえで、事業計画通りに進めるのが王道であった。アメリカの調査によるとスタートアップ全体の失敗率はそれでも75%にものぼるという。しかし最近、起業リスクの低減を可能にする「リーン・スタートアップ」という手法が生まれた。リーン・スタートアップの手法では、事業計画から出発するのではなく、まずはビジネスモデルの探索に取りかかり、迅速に行動し、試行とフィードバックを繰り返しながら有効なビジネスモデルが見えてきた時点で実行に重点を移す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この手法の登場により、スタートアップは早めに失敗し、たゆまず学習を重ね、ピボットを行いながらプロダクトを作り上げ、リリースを行っていくことが主流になり、スタートアップ企業にとって成功率の上昇に寄与している。

そして実はこの手法はスタートアップ企業のみならず、大企業こそ取り入れるべき手法といえる。事前の計画通りビジネスが進まない時代になり、迅速な事業開発とイノベーションが求められているのはまさに既存の大企業であるのだ。

 

 

◆トピック②:「製品をつくる前に顧客を訪ねよ」 by ビンセント・オニェマー(バブソン・カレッジ准教授)他2名

起業家は、できるだけ早く売上げを上げて実績を上げたいと思うものだ。しかし、実績もなく、信用もないスタートアップは創業時にさまざまな壁に直面し、失敗する。起業家たちが挙げた失敗のうち、特に多かったのが下記5つである。

1. スタートの立ち遅れ…製品開発の完了を待って顧客に当たる

2. 一人よがり…顧客の意見に耳を傾けず、自社製品のメリットのみアピールし、

自分のアイデアの検証をしない

3. 値引き…株主からの圧力や早期の売上を焦るあまり、維持困難な価格設定をおこなってしまう

4. 家族や友人への販売…情や義務感で購入してもらうと自分のアイデアが裏付けられた

かのような錯覚に陥る

5. 長期顧客の獲得不足…製品を買ってもらうことに集中しすぎてその後のリピート等に

ついて考えていない

またこれに加えて自社の提供価値、信用、規模、価格、顧客企業のスイッチング・コストなどの壁もある。

このような失敗を避け、壁を打ち破るために必要なのは、営業活動のやり方を変えることである。「あらゆるスタートアップ企業の成功のカギは販売技術にある」という単純な事実認識を持ち、早い段階で顧客に意見を求め、改善し、製品の検証を繰り返すとういう起業家向けの営業モデルを確立すべきである。

 

 

◆トピック③:「世界の起業研究はいま何を語るのか」 by 入山章栄(ニューヨーク州立大学アシスタント・プロフェッサー)

世界のビジネス・スクールのなかで、起業論はいま最も盛り上がりを見せる分野である。数々の研究でも特に日本への示唆が大きいと言えるのが次の3つの論点である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆トピック④:「【インタビュー】スタートアップ企業が目指すべきこと」

アメリカ大手のベンチャー・キャピタル・ファンド、アンドリーセン・ホロウィッツの共同設立者兼パートナーとして、有望な技術系スタートアップ企業に投資しているマーク・アンドリーセンへのインタビュー。

<アンドリーセンの主張>

・我々が探しているのはプロダクト・イノベーターであり、同時に会社を興したいという起業家精神を持ち、さらにCEOになる度量と自制心を持つ人である。そういう人間が実力を発揮し10年間懸命に働けば素晴らしい結果が得られる。

・目標は自分の会社を売却することだ、というような人間には投資しない。そういうベンチャーは足元を見られやすい。

・かつての起業家は商品を市場に投入し、誇大広告をやり、ノイズを起こして売りまくれば後からそれなりの企業に成長すると言われていた。現在のスタートアップの方法論はこれとは基本的に正反対である。重要なことはただ一つ、まともな製品をつくること。人々に求められ、使われ、愛され、対価を払ってもらえる商品を開発してから、それ以外のことをせよ、ということだ。

・その一方で販売やマーケティングのことも忘れてはいけない。市場では多くの商品が売られ、マーケティング活動が行われている。販売やマーケティングを真剣に考えなければ、決して誰も君のことを知ろうとしない。誰も君の商品を買おうとしない。

・これまでテクノロジーの影響をあまり受けてこなかった多くの産業が突如としてテクノロジーによって大きな変容を受ける立場になる。出版、不動産、農業、教育、金融サービス、医療、小売などがそうである。現在はこうした産業を実際に変容させる最新鋭のソフトウェア企業のようなものを創業する好機である。

・最高の創業者は、自分の専門分野における達人である。テクノロジーのトレンド、自社のケイパビリティ、競合他社の活動、市場心理など、経営に関する思いつく限りの要素を頭の中でまとめ上げることができる。そういった判断に必要なすべてのデータ・ポイントを把握しているため、直感に基づいて経営できるのである。

 

 

以上、ほぼ引用になってしまいましたが、 DHBR最新号の紹介でした。